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こうかい|ショートショート集「本能寺の片隅にて」第5話

佐井優輝


約 153

勝海舟を乗せた咸臨丸は、北太平洋を航海していた。

船酔いした勝が夜風に当たろうと甲板に出ていくと、

船の先端で両手を水平に広げている金持ちの女と、それを後ろから抱きしめている小男がいた。

「やめろ~」

勝は大声で叫んだが、

その直後、咸臨丸は氷山に接触した。

(完)