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ストロベリームーン〜苺と月の関係性と成長の変化〜

宇里香菜


約 4179

ひとつ学ぶ事から疑問がふたつ浮かび、なるほどと納得に繋がり、その時にはみっつ調べ終わっている。私の疑問は、ふとした切っ掛けから始まった。
 
それはネットで見た『ストロベリームーン』という言葉である。
 
農業に興味がなければきっと疑問にも思わなかったであろう言葉。

夏至の前日、幸運を呼ぶといわれている赤い満月『ストロベリームーン』が、晴れていれば夜空に浮かぶ。『ストロベリームーン』とはその名の通りストロベリー(苺)のように赤みがかった満月で、夏至の時期に現れる。
 
実は満月は、一年に十二回現れるごとに、それぞれ意味があり、十二回の中でも特に素敵な意味をもつのが『ストロベリームーン』である。
『ストロベリームーン』という名前は、ネイティブ・アメリカン、つまりインディアンが付けた名前で、彼らは、一年に十二回夜空を照らす満月を、大自然の節目として捉えて、十二回の満月それぞれに動物や収穫物の名前をつけた。『ストロベリームーン』の本来の意味は「6月は苺の収穫+夏の始まり」、苺は、日本では春のフルーツというイメージだが、本来初夏が旬である。
そして、素敵な意味とは、「幸せになれる」、「好きな人と結ばれる」といった見た者に「幸運を呼ぶ」という事である。苺の甘いイメージ(幸せ)と神秘な満月(美しさ)、そして赤(命を繋ぐ)。

 

それでは、なぜ満月が赤いのかというと、北半球の太陽の高さが関係している。北半球の太陽の高さは、夏に高く・冬に低い。反対に満月の高さは、夏に低く・冬に高い。6月の夏至の時期には、太陽が一番高くなるので、反対に満月は一番低くなる。満月が低い位置にあるから、朝日や夕日みたいに、赤く見えるという事である。赤は、命の色で、それを湛える満月は、何かもっと神秘的な事があるのかもしれないと考えるに至ったのである。

 

苺と月の関係性を調べるにあたり、月と地球の関係を調べる事にした。
月は、地球の周りを回っている。月と地球と太陽の位置によって、月の見え方が変わってくる。月と太陽の間に地球があるとき、月が太陽光を反射してい
る部分しか地球には見えず、満月になる。逆に、月が地球と太陽の間にあるとき、地球側に月の影の部分しか見えない。これが新月である。
地球と太陽に対して、月が90度の位置にあるとき、月の半分が太陽光を反射しているので、半月に見える。同様に、三日月に見えるなど、太陽光を反射している場所の地球からの見え方によって、月の満ち欠けが変わってくる。地球から月までの距離は約38万km。赤道のまわりを10周したくらいの距離にあたる。地球は、月の引力の影響を大きく受けており、月の位置によって満潮、干潮が発生する(潮汐力)。また地球は、太陽の引力の影響を少なからず受けており、太陽による満潮と月による満潮が重なったときが「大潮」。太陽による干潮と月による満潮が重なると「小潮」が発生。

 

アポロ計画で行われた調査や実験により、月の誕生は地球と同様におよそ45億年前であること、月の表と裏で地質の特徴が異なることなどがわかった。しかし、月の起源と進化(月がどのように形成され、どのような変遷を経て現在に至ったか)には未だに多くの謎が残されている。

 

地球からはいつも月の表側を見ている。表側の明るい部分は「高地」、暗い部分は「海」と呼ばれ、地球から見えない裏側には隕石の衝突でできたクレーターがたくさんある。
最近では表と裏で地下のつくりも違うことがわかってきた。どうして月の表と裏でこんなに違うのか。地球の衛星である月は、地球のまわりを一公転する間に、一自転する。自転も公転と同じ約27.32日の周期のため、地球からはいつも同じ面しか見ることができない。

 

地球の内部はコア(核)とマントルに大きく分かれている。コアは鉄やニッケルでできた固まりで、マントルはコアの周りを包む層で、地球の内部をゆっくり動いている。一方、月の中心は、今までの探査から金属でできたコアがあることは間違いないようだが、詳細についてはよくわかっていない。地球上で起きる潮汐力の現象のひとつ、ポロロッカ(Pororoca)は、潮の干満によって起こるアマゾン川を逆流する潮流(海嘯)。
ポロロッカの名称は、トゥピ語で「大騒音」を意味するオノマトペのpororó-káからきている。満月と新月の時は干満の差が大きく(大潮)、およそ5メートルほどの高さの波としてアマゾン川の河口に押し寄せてくる。この大波は川の流れを飲み込んで、時速65キロメートルの速度で逆流し、沿岸より800キロメートル内陸まで達することがある。大潮に由来するため月に2回起こる現象であるが、3月の頃には干満差の大きさや、雨季の影響によるアマゾン川の水量の多さにより規模が大きくなる(大海嘯)。雨季に当たる春には、アマゾン川の大量の水が満潮になって押し寄せる海水と衝突する。この時、川の水は逆流する海水に押され、海に流出することができず海水と共に逆流する。
この時、600キロメートルの内陸にも洪水や海水の氾濫による甚大な被害がもたらされる場合がある。地球の80%が水分(海)、人間の80%が水分、そして苺は、約90%が水分。それぞれの大きさは違うが、水分量(80%〜90%)に対して、引力から起きる現象があるのではないか、また成⻑(生育)に関して何か変化があるのではないかと考えるに至った。

 

農業には、月のリズムを農暦といわれる太陰太陽暦(旧暦)の巡りで、作物や虫に対する影響を判断するやり方がある。月は満ち欠けがあり、その満ち欠けによって地球上の生き物は影響されている。

新月と満月の地球に対する引力をみると、新月の時は太陽の引力と月の引力が加わり強くなり、反対に満月の時は月が太陽と反対側に位置するので引力は新月より弱くなる。この月の引力は、地球上の生物(水中も含む)にどのような影響を及ぼしているのか。

 

植物の樹液糖度(濃度)を計ってみると面白いことが分かる。苺などの甘さを調べる糖度計(手持屈折計)で一番上にある葉っぱと、一番下にある葉っぱの樹液を調べると、植物が茎や葉を伸ばしているとき、最上葉・最下葉の樹液の糖度差が大きくなり、花の糖度は低い状態である、これが新月のとき。植物が実を充実させているとき、最上葉・最下葉の樹液の糖度差が縮まり、花の糖度は高くなる、これは満月のとき。苺・ピーマン・ナス・キュウリ等では、満月の頃に花芽が出やすく、開花する花も多い傾向となる。花は大きく強く、花粉も多くなり、いっぽう新月の頃の花数は少なく、弱くなる傾向になる。種まき、収穫などは月のリズムに合うと、よい作物がとれることは、昔から伝承として存在していたが、近年農薬に関する法律の改正にみられるように、農薬を使わない農業が見直されている。月の満ち欠けが植物に与える影響、植物の樹液の流れに変化があることが明らかになり、苺の成⻑(生育)にも影響があると考えるのは自然ではないか。種まきは、中南米の伝統的な農法では、「月がふくらんでいくとき」がいいとされてきた。とくに新月からの3日目、満月の3日前からかがいい、つまり大潮のとき。日本では、満月のほうがよりよいという説もある。

 

トマト、ナスなどについてはすでにこのような成果が昔から認められていた。
最近さらに研究した結果、レタス、ホウレンソウ、キャベツなどについては二十六夜で播種するのが最適といわれるようになってきた。細かく見れば作物によって、少しずつ違うが、一方、収穫は、果物なら、三日月の3日後から満月の3日後まで。この期間に収穫するとみずみずしい。
塊菜や根菜の場合は、下弦の月から新月にかけての収穫がよく、この時期に細胞が水分を最大に蓄えている。植物がどのように成⻑するのかをしっかり知る必要がある。植物(作物)は、光合成をして栄養を作り、自分が育つためにそれを利用する。さらに子孫を残すために蓄え「蓄積」を多くすることが、多くの収穫を得るということになる。
植物はライフステージにおいて月齢に大きく影響される。植物は常に一定の生育を行なっているわけではなく、節間の締まり具合や花芽の数、果実の成⻑などなど、2週間という短い期間の中で明らかな生育のリズムの変化が見られる。今週まいたタネと、先週まいたタネでは、ほとんど同じ条件であるにもかかわらず、胚軸の伸びが違ったりする。苗を移植すると、先週移植したものと、今週したものでは節間の伸びが違うことは、農業の経験をした方であれば実感している。
これを月の暦にあてはめてみると、旧暦の七日前後(小潮)から十五日(大潮)にかけては植物の生⻑が緩やかになり、十六日頃(大潮)から二十二日頃(小潮)にかけては伸⻑が旺盛になり、また二十二日から翌月の一日(大潮)にかけては緩やかになるという現象となる。小潮から大潮にかけてのリズムが1つ。大潮から小潮にかけてのリズムがもう1つ。2つの生育ステージが生まれる事になる。その時期に苺も成⻑(生育)に大きな変化があるという事になるのではないか。

 
 

<参考映像及び文献>
たけしの万物創世紀(朝日放送)「月の神秘」1996年7月9日放送
NHK特集ポロロッカアマゾンの大逆流(NHK)1978年8月1日放送
藤井旭(著)月と暮らす。〜月を知り、月のリズムで〜
JAXA(宇宙航空研究開発機構)
JA⻑野県