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新たな年に、時子さんからの贈り物?

亀山佳子


約 919

今年のお正月は「カカさま、カカさま」と呼ばれる事もなく、姑の時子さんはもう居ないんだと思うと、言いようのない寂しさを実感した。もう、実家の父を見舞いに行く事もなくなり同時に空しさも感じた。

 

そんな感慨深いお正月が明けたかと思うと、町はもう節分、バレンタインの準備で賑やかな事だ。次はお雛様、その次は端午の節句と寂しがってばかりはいられない。時は瞬く間に過ぎていく。

 

ホントに毎年どこのお店もあの手この手の商戦に大忙しだ。今時はテレビでも美味しそうな食べ物屋さんを有名なタレントが紹介する番組が多い。今度行って見ようかとは思うものの、なかなか行く事は出来ないものだ。人それぞれだけど、家族一丸となって色々な美味しいものを各地に食べに行く人も沢山いるが、我が家の皆は昔から、あまり何事にも大騒ぎする方ではない。スポーツに関しても、テレビの前では必死になって応援はするが、球場まで駆け付けるまでのエネルギーはないに等しい。何が違うんだろうか?食生活のせいなのか、只の面倒臭がりなのか?時間の無駄だと思うのか?

 

そんな中、自分はいつも色々な集まりを定期的に企画する事が多かった。スケジュールを調整し、日にちやお店を決める。金額も考えたり人数確認し、あれやこれやと頭を使って決める事が楽しみの一つでもあったが、最近は時が止まってしまったかのように何もする気が無くなってしまった。忙しくしていた時の方が、不思議と行動力があったように思う。

 

今年は、自分の年齢的なものや体調にも合わせて、何事も自分のペースで出来る範囲でやろうと考えている。まぁ、根っから呑気な性格は変わらないので、時間に追われることなくスローライフを楽しんで行こうと思う。

 

そんな時、我が家に吉報あり。長男の婚約発表。それも偶然に姑の命日が誕生日だという可愛い人。思いも寄らない花が我が家に訪れた。知らず知らずに時は上手く流れているんだな。「そろそろ嫁さんでも貰わないのかね?」と最後まで心配してくれていた時子さんが、運んでくれたご褒美なのかも知れない。運命を感じた瞬間だった。時子さんありがとう!