幻冬舎グループの作品投稿サイト

読むCafe
 

猿と狸の化かしあい|ショートショート集「本能寺の片隅にて」第1話

佐井優輝


約 170

晩年、太閤秀吉が家康に質問した。「徳川殿は何がお得意か。」狸親父と言われている家康は『猿まわし』と答えようとしてやめた。「狸寝入りです。」「ほほ。それは何かの『ネタ振り』ですかな。」秀吉は『寝た振り』と『ネタ振り』とを上手く掛けられたと思い、ニヤリとしたが「果報は寝て待てと言いますから。」と家康に言われると嫌な顔をした。(完)