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道三、政争の中で、偉力|明智光秀と愛娘、玉子(4)

だぶんやぶんこ


約 2186

彦四郎の存在感がないことから、妙純4男、長井利隆と嫡男、長井長弘が次の守護代を狙い始める。

守護、土岐(とき)政房も妙純の死で元気になり、美濃守護として力を奮おうとする。

妙純に推された女人との間に嫡男、頼武が生まれたが、妙純の専横に不満が鬱積しており、頼武を好きになれない。

 

そんな政房の気持ちを汲んで長井利隆が、縁ある女人を仕えさせた。

思い通り、政房に愛され、1502年、次男、頼(より)芸(のり)が生まれた。

ここから、長井利隆は頼(より)芸(のり)を美濃守護にすべく野望に燃えた。

まず、道三を長弘の近習とした。

ここで、道三は自分の役目をはっきり自覚した。

 

政房もまた、嫡男、頼(より)武(たけ)ではなく頼(より)芸(のり)を溺愛し、家督を引き継がせたい。

ここから、再び、家中を二分する内紛が起きる。

弟で庶子の頼(より)芸(のり)が、家督を継ぐのは難しく、勝ち目のない戦いだったが、政房の決意は固かった。

 

1515年、長井利隆が亡くなった。

父以上の野望に燃える長井長弘が引き継ぐ。長弘と道三とのコンビは申し分なく、いよいよ時が来たと奮い立った。

道三親子の役目は、密かに、頼(より)武(たけ)の支持者を削ぐための調略・謀殺だ。

策は実り、1517年、政房は、頼(より)武(たけ)を廃し、頼(より)芸(のり)を後継とすると公にした。

 

怒った頼(より)武(たけ)は、守護代、斎藤利良を頼りとして立ち上がる。

成長した利親の嫡男、利良は、1512年、妙純の嫡孫であることを主張し、叔父、彦四郎に家督の引き渡しを迫り追い出し、守護代を引き継いでいた。

利良は、頼(より)武(たけ)を次期、美濃守護に推すと立ち上がる。

嫡男としての大義がある頼(より)武(たけ)を家中の大半が推した。

この時は、道三の力はまだ弱く、どうしようもなく頼(より)芸(のり)と共に尾張に逃げる。

 

ここから、頼(より)芸(のり)の側には道三ありの活躍が始まる。

尾張には、守護代を奪われ逃げていた長弘の叔父、前守護代、斉藤彦四郎(妙純3男)がいた。

そこで、斉藤彦四郎を味方に引き込むことにする。

することもなく落ち着かない日を過ごしていた斉藤彦四郎は、守護代に復帰する事ができるとの誘いに応えて、喜んで、頼(より)芸(のり)を支持する。

 

ここから、斉藤彦四郎を前面に出しつつ味方を増やし翌1518年、頼(より)芸(のり)は美濃に進撃し勝利し、戻った。

追われた頼(より)武(たけ)は、利良の叔母の子、越前守護、朝倉孝景を頼り逃げた。

頼(より)芸(のり)派は、勝利したが、まだまだ内紛が続く。

復帰した守護代、斉藤彦四郎だが、統治力はなかった。

道三は、斉藤彦四郎を追放することに、家中の大勢の支持を得る為調略を進める。

 

頼(より)武(たけ)と斎藤利良は、朝倉家に落ち着くと、頼(より)武(たけ)と朝倉孝景の妹との結婚を決める。

朝倉孝景は、上機嫌で、頼(より)武(たけ)の再興のために戦うと約した。

頼(より)武(たけ)は、朝倉家の後ろ盾で美濃守護になれると、息を吹き返し元気になる。

 

政房は、翌1519年、長井長弘・道三に頼(より)芸(のり)を託し亡くなる。

道三はまた一歩、美濃の中枢に近づいた。

 

政房死後の混乱の中、浅倉勢に支えられた頼(より)武(たけ)が、家中が認める正当な後継者だと、美濃に侵攻し勝利した。

まだ時至らずと頼(より)芸(のり)、小守護代、長井長弘、道三は、頼(より)武(たけ)に従うと表明し、慎重に身辺を守りながら、謹慎する。

頼(より)武(たけ)は、美濃守護に就く。

このドサクサの中で、斉藤彦四郎は行方不明となる。

道三は、耐える時となったが勝利を確信し、直ぐに動き始める。

 

守護、頼(より)武(たけ)のもとで、守護代となったのが持是院家、斎藤利良(-1538)。

斎藤利良は、圧倒的権力者となる。

すると、道三は、本来、美濃守護代は持是院家ではなく美濃守護代家であるべきだと大義を主張する。

守護代家、利藤の孫、利茂を推し、持是院家、利良を追い落とすためだ。

 

土岐元頼を美濃守護にしようとして失脚した利藤だが、家系は続いていた。

利茂は日運(利藤の子)の甥であり、日運は道三の頼りになる良き理解者だった。

1521年、日運らを含め美濃守護代家、利茂の支持を得て、家中の根回しを完璧に行い道三が、大勢を占める。

持是院家、利良は追い詰められ行方不明となり美濃守護代家、利茂が守護代となる。

利茂は、道三を恩人と慕う。

道三は、美濃守護代の実質、庇護者となり、敵なしとなった。

 

道三は、美濃守護代家を配下とした。

行方不明となった持是院家、利良を継いだのは、いとこ、利隆の嫡男、長井長弘。

 

ここで、道三は、妙純のすぐ下の弟、長井利安の嫡男、斉藤利賢との関係を深め、自ら斎藤家の後継になると決めた。

長井利安の妻は、稲葉氏。

斉藤利賢の妻は、明智光継娘(光秀の叔母)。

明智光継の子、明智光安(光秀の叔父)の妻は、利賢の妹。

稲葉氏にも、明智氏にもつながる斉藤利賢は、道三の説得に頼(より)芸(のり)支持を決めた。

ここで、明智家を率いる光安も道三支持となる。

道三と明智家の縁が強固につながった。